マラソンで東京オリンピックの出場権を勝ち取った大迫傑。BBMのカメラマンたちは長年、彼が歩むまっすぐな道を、ファインダーを通して目撃し続けてきました。印象に残る写真の数々を紹介していきます。
上写真=2020年3月1日 東京マラソン=東京都千代田区(撮影◎田中慎一郎)
CANON EOS-1D X Mark III 100-400mm f5 1/2000秒 ISO1600
大手町の空に乾いた号砲が響くと、選手の前を走る9人乗車の報道撮影トラックもするすると動きだします。箱根へと続く広い道へ一番に飛び出してきたのは、大迫でした。真っ直ぐ前を見据えた眼差しは、なんの気負いも感じられず、ただ勝利を確信しているかのように見えました。(撮影者◎高野徹)
各高校のエースが次の走者にタスキをつなぐためにスタートから中継点を目指す。大勢の選手が塊となって通過する1区の走者を撮影するのは至難の業である。そんな中、ひときわ僕の眼を引く一人の選手が大迫であった。スーっと空中を飛ぶかのようなスピード感のある走りで、遠くの方からでもカメラを向けたくなるような印象の強い選手だった。しっかりと前を向くその眼光は鋭く、一人の高校生の選手というよりも、アスリートとしての生きざまを見ているかのようだった。そんな彼が向けていた眼差しの先には、都大路の栄冠の遥か先、一流アスリートの晴れの舞台「オリンピック」に照準を合わせていたかのように思う。(撮影◎松村真行)
第100回日本選手権大会にて10000mと5000mの2冠を飾った大迫。過去に優勝を幾度も逃したが、記念大会にてついに念願の冠をもぎ取った。10000mゴール後にスタンドに腕を伸ばし声援に応えた。(撮影◎中野英聡)
1月に比べて明らかに周りの風景も変わる。5月になれば爽やかな青い空ときれいな緑の芝生と木々になり、季節の移り変わりも感じながら練習しているのだと思う。この空間も飽きさせずに練習させてくれるアイテムだと思った。(撮影者◎小山真司)
この時の取材最終日はアメリカ国内の大会。大会前日には会場で仲間たちと練習。暗くなるまで走っていました。(撮影者◎小山真司)
走っているだけではなく、体幹を鍛える地味なトレーニングも必要だ。地味だけど、これがとても辛そう。ジムの内壁にはいろいろなスポーツ選手や著名人の言葉が書かれている。彼の後ろにはリンカーンの「I will prepare and some day my chance will come.」の言葉が。これまでの「PREPARE」が、東京マラソン優勝、日本新記録、東京オリンピック代表につながったのでしょう。(撮影者◎小山真司)
冬のポートランド。朝はもちろん寒いし、深い霧に包まれることもよくある。練習場の周りは深い森に囲まれているので、とても幻想的になる反面、孤独感もより一層強くなる気がした。(撮影者◎小山真司)
東京オリンピックの最後の1枚の切符を賭けて走った東京マラソン。前年9月のMSGでは、3位となり内定は得られなかった。カメラ車からの撮影は、先頭の選手を撮影する。写真は、レース前半。大迫は外国人選手に囲まれるように走る。(撮影者◎椛本結城)
コロナ禍のいまから思えば「ギリギリ」の、そして奇跡の開催だった。ゴールの東京駅前、丸の内仲通りにその姿を現すと、ゴールまで195mを残し、自身の持つ日本記録更新は疑いのないものとなった。(撮影者◎田中慎一郎)
東京オリンピックの代表選考ともなった東京マラソンには、出場しないという選択肢もあった。しかし、「目の前のチャンスを勝ち取りにいった」勇気ある決断が日本記録更新につながる。めったに感情を表に出さないクールな男がゴールのそのとき、雄叫びを上げ、拳を振り下ろした瞬間、背後に「2:05:29」が刻まれた。(撮影者◎田中慎一郎)
マスクに手袋の女性に、「ソーシャルディスタンス」で記者会見場に案内される。報道陣にもマスク着用が義務付けられていたが、忘れた人のために記者会見場の入り口に使い捨てマスクが無料で用意されていた。このときはコロナ禍の「初期段階」。思えばこれが「コロナ前」の最後のスポーツビッグイベントだった。(撮影者◎田中慎一郎)
※BBMフォトギャラリーは毎週金曜日に更新予定です。
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