これは期待できそう。
L’Oréal(ロレアル)は美容業界にもっとテクノロジーを取り込もうと、AIお任せのコスメディスペンサーやセルフヘアカラー用ガジェット、ウェアラブル紫外線計測センサーなどのデバイスの開発に、いち早く取り組んできました。そんな同社が、Google(グーグル)の親会社Alphabet(アルファベット)のバイオテック子会社Verily(ベリリー)との提携を発表。美容とスキンケアをより科学に裏打ちされたものにするためです。
皮膚科医とも連携して生物学研究
美容液やメイク落とし、身体に塗り込む保湿クリームなどのスキンケア産業は1,000億ドル(約11兆5600億円)規模で、2028年には1,450億ドル(約16兆7600億円)規模に成長すると予測されています。日常的なスキンケアだけでなく、肌状態の改善・疾患予防の観点から製品を買う人たちもいます。私は遺伝的にかかりやすい皮膚がんを防ぐために各種SPF入りクリームを、さらに死ぬまでは滑らかで透明感があって皴のない肌でいたいというちょっとした虚栄心のために、レチノールとビタミンCも使っています。
アメリカ人の4人に1人はニキビ、酒皶、乾癬や皮膚炎のような皮膚疾患に苦しんでいて、そういった肌トラブルをどう治療するかはとても個人的な闘いです。処方されたスキンケア製品が効く人もいますが、必ずしも誰にでも効くわけではありません。
今回のロレアルとベリリーのパートナーシップは、主にリサーチを行うためのプログラム。両社は共同で皮膚科医と共に、皮膚の生物学を研究するプラットフォームを立ち上げます。このリサーチは、やがて肌トラブルの対処や予防に役立つスキンケア製品開発に繋がる可能性があります。
ロレアルのテクノロジーインキュベーターを監督する役員職Guive Balooch氏は、「スキンケア製品を使う際に生じるニキビや湿疹を避けるには、それまでと別の対処法が存在するはずです」と語っていました。「現在の美容業界で試されていることを超えるやり方を見つけ出し、深掘りしてさらに優れたプラットフォームを築けるか理解する必要があると、われわれは考えていました」とのこと。
このパートナーシップは、化粧品売り場を手探りで恐る恐るチェックしながら、皮膚のトラブルをひょっとしたら改善してくれそうなスキンケア方法を寄せ集めようとしている私たちにとって、どんな意味を持つんでしょうか?
それが現時点ではあまり大した意味はないのです。ロレアルとベリリーは、来年中に皮膚科医のためのプラットフォームを立ち上げる予定。そのプラットフォームには、患者の皮膚データをもっと集めるために皮膚科医が使える分光デバイス、光学センサーに計測ツールといった物理的な要素と、ニキビや酒皶といった肌のコンディションを理解することを中心に構築された最新アルゴリズムのデジタルな面があるそう。おそらく皮膚科医は患者に治療をしてから、そのデータをこのプラットフォームに入力して、その集積によってアルゴリズムは改良されていくのでしょう。なんらかの成果が出るのはその後の話です。
集めたデータがどう役立つかはまだ不明
私は毎年の皮膚がんスクリーニング検査のためだけでなく、自己流のお手入れが肌へ及ぼす影響について聞くためにも、年に1回は皮膚科医の診察を受けています。
稗粒腫ができてしまったのは、爆売れしているアボカドアイクリームのせい? → (ええ、間違いなく)
頬に突然できたシミは問題になりそう? 治療はできる? → (いいえ or はい)
私が提供したこのような情報すべてがアルゴリズムの改良に用いられて、それが実際に効果のあるスキンケア方法を作るために使われるんだと想像しますが、正直言って少しワクワクしますね。とても素晴らしいアイディアですし、まだ先は長いですが興味深い一歩です。
Balooch氏は、「いつの日か、どの製品がどの症状によく効くのかという正確な情報を持っている自分が想像できます」と述べていました。「それは間違いなく素晴らしいことです。われわれが消費者をよく理解すればするほど、消費者たちも自身の肌をもっと理解するようになり、良い判断を下せるようになればなるほど、製品はもっと効果的になるからです」とのこと。
ロレアルがこのパートナーシップから収集したデータに基づいて開発するかもしれない製品またはサービスについては、まだいくつか不明点があります。近ごろはパーソナライズされたスキンケアのスタートアップが市場にありふれています。それでもベリリーとの提携によってロレアルがいずれ開発するであろう美容液は、実際に科学に裏打ちされた効果の高いものとなる可能性が期待できます。皮膚疾患を治療する製品はアメリカ食品医薬品局からの承認が必要で、安全性と有効性を確かめるために臨床試験を実施しなくていけませんが、ロレアルがそうした本格的な治療薬開発へと進むのか、それとも化粧品のバリエーションとして、よりパーソナライズされたスキンケア製品を売り出すのかはまだ不明です。
データの収集はその最初の一歩です。化粧品とヘルスリサーチの両方に強く関心を持つ私としては、ロレアルのスキンケアに対するさらに科学的なアプローチの成果を見るのが楽しみなところです。
Source: L'Oréal, Fortune Business Insights, American Academy of Dermatology
からの記事と詳細 ( ロレアルとアルファベット子会社「Verily」、パーソナライズされたスキンケアに向けて提携へ - ギズモード・ジャパン )
https://bit.ly/3o8lmgA
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