女優、高峰秀子の著書は、題名に惹かれて読んだ『類型的なものは好きじゃないんですよ』から、本書で5冊目。「反骨」とは高峰にぴったりだ。読み終えた後も感動でドキドキして、朝まで眠れなかった。
高峰といえば映画『二十四の瞳』の大石先生役が有名だが、あまりにもはまり役だったため本物の教師たちからの手紙が少なくなかったという。ある人は教師としての自信を失い、辞表を書く寸前まで追いつめられたとき、偶然見た『二十四の瞳』で思い直し、教師の道を歩む決意を新たにした。「私の迷った心をひき戻して下すった方として、私は一生あなたを忘れないでしょう…」と書かれていたそうだ。
養父に連れられて受けた子役の募集審査が五歳になる前。みごと選ばれて映画界に入ったがまあ苦労に次ぐ苦労。女優の世界って華やかなのだろうと思っていた自分は甘かった。
本人はチヤホヤされ満開のバラのような存在だった「高峰秀子」の「どこからどこまで全部いや」だったと書いていた。その「虚像」をしらけた厳しい目で見つめていたようだ。また、映画『東京オリンピック』の批判に対しては堂々と全面擁護し、衆院委員会での爆弾発言もむしろ清々しい。
高峰の養女で文筆家の斎藤明美さんは本書のあとがきで雑誌記者だったころの思い出を書いている。「高峰さんは芸能界の三大いじわる婆さんの一人だ」と先輩らに脅かされたらしい。「果たして高峰秀子は怖い人だったのか?本書を読んでくださったあなたは、どう思いますか?」と尋ねている。私は、怖いのではなく怖いほどまっすぐに生きた人だと感じた。
今年は高峰の没後10年。本書はこれを機に出版されたこれまで未収録のエッセー集だ。主演映画もぜひ見てみたい、そう思っている。
兵庫県尼崎市 渡辺陽子 44
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