(写真 : 「いとしのニーナ」で主演を務める岡田健史(C)モデルプレス)
◆FODオリジナルドラマ「いとしのニーナ」
「いとしのニーナ」は幼なじみ・マサ(望月歩)が起こしたある拉致事件をきっかけに、憧れの美少女・ニーナ(堀田真由)のボディーガードをすることになった高校生・厚志の不器用だけど純粋でまっすぐなラブストーリー。
厚志はヘタレな男子高校生で、不器用だけどまっすぐで正義感が強い性格。幼なじみが起こした事件の責任をとるため、ニーナに振り回されながらも心に傷を負ったニーナの力になりたいと思ううちに恋心を抱くようになる。
◆岡田健史「最近まっすぐだけじゃなくなってきた」
― まず、厚志という人物をどう捉えてどう役作りされましたか?
岡田:役作りはあんまりしていなくて、やりながら「厚志はどういう人間なのかな」と僕自身も楽しみながら撮影をしたという感じです。インする前に唯一考えていたこととすれば厚志の日々の日常ってすべてがニーナ一色なんだろうなと。例えば「この御飯ニーナが食べたらどんな顔するんだろうなぁ」とか「今見上げている空をニーナはどう思うんだろうな」とか厚志は考えているんだろうなと思っていました。撮影していく中で厚志はすごく自分に誠実に向き合える人間で、あんなに自分の悪いところや目を伏せたくなるところ、弱いところに向き合って戦える男の子って傍から見たらヘタレですけど実は一番強い人間なんじゃないかなと、そういう気持ちでクランクアップしました。その時間もすごく楽しかったですし、役作りはもちろん大切なんですけど役を作り上げていくのも楽しいし1つの方法だなと思いながら演じました。
― 厚志はヘタレだけどまっすぐな性格だからマサから「偽善者」と言われることもあります。演じる上で難しさはありましたか?
岡田:最近僕が“まっすぐだけじゃなくなってきている”と思っているんです(笑)。悪く言えば“染まってきた”、よく言えば“分かってきた”って感じなんですけど、私的感情でも認められるようになってきた分、厚志の心情も分かるし、「偽善者だよなぁ」ってマサの意見も分かるようになりました。今までは極端に言えば僕の役だけを見てそのボールを投げるということだけをやってきたんですけど、逆に今は見える世界が広がってきた分、もちろん役の感情とは離れて、個人的に楽しみながら撮影もできるようになってきました。
◆岡田健史、いくえみ綾の原作は10年経っても「全く風化していない」
― 原作や台本を読んだときの率直な感想を教えて下さい。
岡田:演じる側として漫画の世界観と実写化の世界観が必ずしも一緒にしないといけないわけではないと思っているので、原作を読み込み忠実に世界観を実写化するというよりも台本ができあがってから台本の中で自分が感じたことを表出する方が良いなと思って、原作はお話を頂いたタイミングで読ませて頂いて、あとは台本、と割り切りました。
入り口が拉致という犯罪のストーリーなんですけど、監督とも話して暗く重いテイストにしたくないという共通認識があって分かりやすくこの作品の質感を軽くできるのは厚志だけだなと思ったのでそういったところも意識しながら楽しめて演じることができました。
― 原作の魅力はどんなところにあると思いますか?
岡田:10年前の作品と知らないで拝見したんですけど、時を経ても全く風化していない作品だなと。上から目線で言っちゃってますが、それがいくえみさんの魅力なのかなと思って、そういう素晴らしい作品に携われることが嬉しかったです。あとは絵のタッチもストーリーも少女漫画と思わなかったです。読み終わったときに「これ少女漫画だったんだ」と改めて再確認するくらい他にはない世界観だと思いました。
― 「実写でしか出せないことを表現したい」というコメントを出されていましたが、具体的にはどういうところをこだわっていますか?
岡田:まず情報出しのときのビジュアルをすごくこだわりました。プロデューサーさんと話して、カメラマンさんとも「この角度だよね」とか作戦練りながら。僕はどこまで行っても僕でしかないですし、厚志に似せようとも限界があるんですけど、出だしの第1話の冒頭の衣装なんて特に原作に忠実な衣装だったので、制作側の方も考えて作って下さったのが嬉しかったです。岡田健史が厚志をやる意味を考えて精一杯表現させてもらいました。
◆岡田健史の“〇〇一色”になっていた経験
― 岡田さん自身も、先程言っていたような頭が“○○一色”になっていたという経験はありますか?
岡田:今は昔に比べたら考えなきゃいけないことも沢山あるし、それが大人になっていくことだと思うんですけど、学生のときはスポーツをやっていたので、スポーツのことしか考えられない瞬間もあったし、スポーツをやりながら好きな女の子ができてそっちが疎かになっちゃうくらい思ったこともありました。そういうときは疲れとか辛さとか忘れちゃうくらいで、厚志の頭の中もそういう風にニーナ一色なんだろうなと思いました。
― 恋愛だけじゃなく、男の子同士の青春も描かれている作品ですが、そういった部分は共感できますか?
岡田:(僕もそういう経験)ありましたよ。厚志とマサみたいにベトッとはしてないですけど(笑)。この話は厚志とニーナのラブストーリーだとは思うんですけど「男ってバカだよなぁ」が表現できたらいいなと思いながら演じていたのでそういったところも注目してほしいですね。
◆岡田健史、堀田真由のニーナはあざとさが武器
― 岡田さんが思うニーナの魅力は?
岡田:まず、単純に外見が可愛い(笑)。最初の入り口としては本能が「可愛い」って思っている関係性から入って厚志の中にはないものがニーナの中にあったからこそ厚志は惹かれていったんだと思います。言語化するよりも「好きになるのに理由はないけど好き」っていうのを200%出すということを僕はやってました。
― ニーナの可愛さはストーリーのキーになってくると思いますが、堀田さんのニーナの印象はいかがですか?
岡田:まぁ…あざとい(笑)。分かりやすく言ったらこうできる感じ(ぶりっ子な上目遣いをその場で実践)。それは決して堀田さんの素ではなく狙ってやっているというところはニーナと重なっていて、ニーナも素は違って「使う武器は使いますよ」という女の子なので、演じていて「おお…ちょっとグラッと来るな」ということは何回もありました(笑)。でもそれが厚志の自然な反応だと思うので、僕はすごい演じていて拾いやすかったし、堀田さんで良かったなと思う一つの要素です。
― カメラが回っていないときの堀田さんは全然違いますか?
岡田:全然違います。僕も厚志とは全然違うし、望月歩くんも全然違うので、カメラが回っていないときは、視聴者の方が見ることがない世界を見れているんだなと思って「俺ラッキーだな」と思っていました(笑)。モッチー(望月)とは馬鹿なことを言ってました。距離を縮めたかったんですけど、向こうもそれを思ってくれていたのか察してくれたのかすごく向こうから来てくれて仲良くなったしそれがマサとあっつ(厚志)の演技にも表出できたんじゃないかなと思います。
◆岡田健史、自身が語る変化とは「カッコつけなくなった」
― 先程「まっすぐだけじゃなくなってきている」というお話がありましたが、2018年にデビューされてから、自分が「変わったな」と思うことはありますか?
岡田:カッコつけなくなったところ。もちろんカッコつけたいですし、「カッコよく撮って下さい」という意志はあるんですけど、”カッコ悪いところを見せるカッコよさがカッコいい”と思うようになってからは大分考え方とか人との接し方も変わってきたなと自分で実感しています。
― カッコつけていたというのは?
岡田:カッコつけでした。どうしてもよく見せたいと思うのが普通だと思いますし、カッコつけていることを隠していました。それがカッコ悪いというか“見栄の見栄”を張っていた時期もあったので、いらないと思って。それから色んな大きな舞台に立たせて頂く経験もさせてもらって、自分にとって変にブレーキになるものを取り払えて楽になれたのでそれが少なからずとも芝居にも生きていると思います。…自分で言うのはなんですけど、もしかしたら僕のまっすぐさが好き、という方もいらっしゃるかもしれないけど「人って良くも悪くも変わっていくからね」と(笑)。悪い意味じゃなくて、僕もそうだし僕のことを見て下さっている方も一分一秒同じ相手とは出会えないし出来事をどう感じるかというのは全然違うと思うのでどうか僕がこうやって「変わった」と話している僕の記事を見て「岡田くん変わっちゃった…」って思わないように、どうかよろしくおねがいします(笑)。僕は楽しくやってます。
― ありがとうございました!
(modelpress編集部)
◆岡田健史(おかだ・けんし)プロフィール
1999年5月12日生まれ、福岡県出身。2018年、オーディションを経て新人ながらTBS系連続ドラマ「中学聖日記」で、主演の相手役という異例の抜擢を受け、俳優デビュー。2019年、福岡放送開局50周年記念スペシャルドラマ「博多弁の女の子はかわいいと思いませんか?」でテレビドラマ初主演を果たす。同年、AbemaTV「フォローされたら終わり」でも主演。2020年3月公開の「弥生、三月 -君を愛した30年-」で映画初出演。待機作にTBS系ドラマ「MIU404」、NHKBSプレミアムドラマ「大江戸もののけ物語」、映画「奥様は、取り扱い注意」(2020年公開予定)、「望み」(2020年10月公開予定)、「ドクター・デスの遺産 -BLACK FILE-」(2020年11月公開予定)。
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June 01, 2020 at 05:00PM
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