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Sunday, May 24, 2020

スキンケアは、ジェンダー規範を乗り越えることができるのか? - VOGUE JAPAN

Photo: Sabine Villiard / Trunk Archive

2014年、男性用デオドラントと女性用のそれの違いを皮肉っぽく描写するツイートが話題になった。「女性用デオドラントの香りはローズ、コットン、スプリング、メドウズ。男性用はウィンターアイス、シャークナード、氷河、パンチ、拳銃」と対比させたのだ。このツイートは約2万4000回もシェアされ、男性および女性向け商品にありがちなスキンケア商品のネーミングを茶化した大喜利が人気を博した。

風刺はさておき、ドラッグストアや百貨店のスキンケアコーナーに並ぶ商品を見て、その見えないバリアに気づかない人はいないだろう。そこには明白なサインがある。女性用の棚にベビーピンクやパステルカラー、パウダーブルーのパッケージが並ぶ一方、男性用の棚には単色のパッケージが連なり、購入を検討する人にその商品が「男性用」であることを再確認させているかのようだ。

潜在的に有害な心理的影響もさることながら、性別を意識したマーケティング手法は、男性用と女性用の商品の間に見られる価格の不平等(女性用の方が高い)、通称「ピンク税」と呼ばれる問題を助長している。2015年にニューヨーク市消費者労働者保護局の委託により行われた研究では、女性用パーソナルケア製品は男性用の類似製品と比較して、最大13%も価格が高いことが明らかになった。

ジェンダーインクルージョンが社会のそこここで広がりを見せる中、男女別に分けられたスキンケアは、単に時代遅れなのだろうか。あるいは性差別的なマーケティング戦略なのだろうか。それとも、男女の肌構造の違いに応えるためには不可避なのだろうか。 

大切なのは性別ではなく「状態」。

商品に与えられたジェンダーが、ステレオタイプにもとづくものであることは自明だ。私たちは生まれた時から、特定の色やモノを「女性用」あるいは「男性用」として認識するよう刷り込まれている。お菓子やミールセットのおまけで付いてくるおもちゃにも顕著だ。女の子には人形、男の子には車、というように。

この刷り込みは、大人になっても私たちの考え方に影響を及ぼし続ける。男性は男らしさを維持することにより関心を持ち、そのイメージに沿った商品を購入しがちだ。また、男性は自分よりも屈強そうな男性がその場にいる場合、より多くを購入する傾向にあるという研究結果もある。こういった行動傾向は、収益向上を図るマーケターにとって極めて貴重な情報となる。

では、肌の男女差についてはどうだろうか。全く異なるスキンケアの必要性を正当化するほど、明確な違いはあるのだろうか。これまでの研究から、男性の肌はコラーゲンやエラスチンを多く含むため、女性の肌に比べて20~25%厚く、皮脂の分泌量が多いこともわかっている。

一方で、米国皮膚科学会は男女を問わず、毎日のスキンケアの基本は同じであるべきだと断言する。いわく、効果的なスキンケアを行うために最も重要なのは、肌を性別によって分けて考えるのではなく、肌タイプ(ノーマル、敏感、オイリー、乾燥、混合など)や肌年齢、トラブルの有無、色素沈着といった状態を見ることなのだ。

ジェンダーニュートラルな商品の台頭。

従来の美の基準に批判の目を向ける消費者は世界的に増加する中、ジェンダーニュートラルを掲げるスキンケアブランドが急速に増加している。ユニセックスフレグランスの代名詞的存在であるカルバン クライン(CALVIN KLEIN)の「ck one」や、オーストラリア発のブランド、イソップ(AĒSOP)などに加えて、最近では性差にもとづくマーケティング手法の変革を試みる気鋭ブランドも登場しはじめている。

そんな流れの中で現在ヒットしているのが、Kビューティーにインスパイアされたスキンケアライン、パナシア(PANACEA)だ。韓国系アメリカ人の共同創業者、テリー・リーによって生まれたパナシアは、肌への「ジェンダー・アグノスティック(性別にとらわれない)」というコンセプトを掲げるだけでなく、スキンケアの典型的な10ステップをわずか3ステップに短縮した。

ほかにも、世界的に拡大し続けるセルフケア市場に新たに参入したのが、アメリカンイーグル(AMERICAN EAGLE)のウェルネス&スキンケアラインであるムード(MOOD)だ。ヘンプから抽出されたCBD成分を配合した製品を、フェイスオイルからバスボム、ピローミストまでジェンダーレスに幅広く展開している。

DNA解析にもとづくスキンケアが常識に?

また、美のジェンダーギャップを科学的に壊そうとしているのが、DNA検査に基づくスキンケア製品を提供するアレール(ALLÉL)だ。同社の共同創業者、エリザベト・ハガート博士は、最近の研究によると老化の50~60%は遺伝性であると説明する。

「私たちが実際どのように年を取るかは、それぞれの遺伝的素因に依存しています」

同社は、性別を問わず粒子レベルでスキンケアに関心を持つ個人を対象に、詳細なDNA解析にもとづく特注のスキンケア製品ラインを展開している。

次の10年の間に、性別ではなく肌タイプや気になる症状に重点を置いたスキンケア用品を選ぶことが常識になる可能性は高い。問題は、私たち消費者自身が内在化するジェンダー規範を払拭できるかどうかだ。

Text: Freddie Braun

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May 24, 2020 at 10:01AM
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